光を使って眼球の前方にある組織(角膜から水晶体まで)を三次元的に断層撮影できる検査です。
眼の中を循環している水(房水)が眼外排出される部分(隅角)を撮影できます。これにより、急性緑内障発作の評価、自覚症状のない緑内障の早期発見・治療も可能となります。
また、角膜の形状を解析することにより、角膜の形状異常や乱視の診断に役立ちます。眼鏡やトーリック眼内レンズでは矯正できない角膜不正乱視の検出も可能となっています。
概要・特色
診療技術部について
国家資格を有する専門的な知識や技術を持った2職種で構成されています。
効率的な外来診療や医療サービスの向上を図るために日々努力をしています。
・視能訓練士
・歯科衛生士
視能訓練士について
視能訓練士紹介
視能訓練士とは、昭和46年に制定された「視能訓練士法」に基づく国家資格を持った医療技術者です。
私たち視能訓練士は、眼科領域における専門技術者として、乳幼児からお年寄りまで世代を超えて、皆様の大切な目の健康を守るお手伝いをしています。
人間の眼は、とても複雑で大切な器官であるため、多くの検査があります。視力検査、屈折検査、視野検査、眼の奥の写真や組織の断層を撮影する画像診断検査などがあります。また、当科では正確な手術を行うための手術前の検査など、様々な眼科一般検査及び精密な特殊検査も担当しています。医師の診断や治療に必要な的確なデータを提供し、眼科医療をサポートしています。
業務内容
視力検査、眼圧検査、眼底カメラ撮影、光干渉断層検査(OCT、OCTA)、動的量的視野検査、静的量的視野検査、屈折検査、角膜曲率半径計測、角膜内皮細胞顕微鏡検査、光学的眼軸長測定、超音波検査(Aモード)、両眼視機能検査、眼筋機能精密検査、立体視検査、眼位検査、石原式色覚検査、中心フリッカー値測定、網膜電位図(ERG)、視覚誘発電位図(VEP)、眼球突出検査
視野検査
視野とは、片眼で視線を固定した状態で見える範囲、つまり視覚的に認識できる領域の広がりです。正常視野の範囲は上方60°、下方70°、耳側100°、鼻側60°といわれています。
固視点の耳側約15°、下方約3°に位置するマリオット盲点に相当する部位は視神経乳頭に対応し、生理的暗点となります。視野は網膜から視中枢に至る視覚路の投影であり、眼球から視中枢までの一連の視覚情報処理の流れが何らかの原因により障害されると、視野異常として現れます。
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動的視野検査
光の明るさや大きさの異なる指標を動かして見える範囲を調べる検査です。
周辺部を含めた視野全体の評価ができるため、網膜色素変性症などの網膜疾患、脳病変などの中枢性疾患、視神経疾患、また中期以降の緑内障などに用いられます。 -
静的視野検査
中心10°~30°の視野の中で、決められた測定点に明るさの違う指標を呈示することで対応する箇所の網膜感度を調べる検査です。
特に緑内障の早期発見、診断、経過観察に用いられます。
眼底写真撮影
硝子体・網膜・脈絡膜、視神経乳頭や黄斑部といった瞳孔を通して観察できる範囲を撮影します。病変がある場所や範囲、形状、色調などその時の状態を客観的に記録し、経時的変化・治療効果の判定に用います。
当院では、広角の走査型レーザー検眼鏡にて従来の眼底カメラより広い画角で撮影が可能です。
これにより、撮影時間の短縮や眼底全体の状態把握の簡略化に繋がっており、網膜裂孔や網膜剥離、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎など周辺部にまで及ぶ疾患に有用な検査となっています。また、網膜色素上皮に蓄積するリポフスチンという物質が発する蛍光を撮影する自発蛍光撮影や造影剤を用いて網膜や脈絡膜の血流状態、活動性を評価する蛍光眼底造影検査も撮影することができます。
OCT(光干渉断層計)
眼球は透明な組織で出来ている部分が多いため、光波にて眼球の断層画像を撮影することが可能です。撮影は比較的短時間で、非侵襲的(眼に触れない)であるため、体へ負担をかけることなく安全に検査をすることができます。
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前眼部OCT(CASIA)
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後極部OCT
光を使って網膜の断面や厚みを調べる検査です。
網膜の断面を画像化することによって、三次元的にとらえることができ、むくみの程度や出血の範囲や深さなどを精密に把握することができます。加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫などの病態評価にかかせない機器となっています。また、視神経乳頭の形状や網膜神経線維の厚みを調べることにより、緑内障の早期発見や進行状況の把握に役立てています。OCTの技術を応用し、造影剤を使用せず網膜や脈絡膜の血流形態の診断に有用な光干渉断層血管撮影(OCTA)も撮影可能です。
歯科衛生士について
歯科衛生士紹介
歯科衛生士とは、歯科衛生士法に基づき厚生労働大臣より免許を受けた歯科疾患の予防及び口腔衛生の向上を図ることを目的とする医療従事者です。
歯科医師の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置、歯科診療の補助、歯科保健指導を行います。
歯科衛生士の業務内容
歯科衛生士は歯科口腔外科で実施する診察・処置などの診療補助、医科領域における骨粗鬆症治療剤やステロイド剤による治療を行う患者さんや、ご自身による歯磨きが困難な状態の入院患者さん、手術やがん治療を行う患者さんなどに対して専門的口腔ケアや口腔衛生指導を行う口腔管理の役割を担っています。
とくに手術やがん治療の患者さんに対する口腔管理を周術期等口腔機能管理といい、医療現場ではここ10年ほどでその必要性が定着しつつあります。
当院においても、口腔機能管理を積極的に行い口腔内トラブルや周術期合併症を予防することにより、患者さんのQOL向上や早期退院を目指しています。
周術期等口腔機能管理
手術が決定してから、手術を終えて退院するまでの一連の期間(周術期)やがん治療の患者さんなどに、歯科医師や歯科衛生士が専門的口腔ケアや口腔衛生指導を行うことにより、周術期合併症や口腔内のトラブルを予防・軽減することを目的としています。
手術の前に口腔内のクリーニングを行うことにより肺炎や創部の感染症を防ぎ、ぐらつきがある歯などを事前に抜歯しておくことにより歯の破折や脱落、誤飲のリスクを減らすとともに、がん治療においては副作用で出現する口腔粘膜炎を軽減できると言われています。
また集中治療室における一連の治療中の患者さんに対しても、誤嚥性肺炎の原因となる口腔内細菌を口腔ケアにより減らすことができるため介入を行っています。
当ホームページの歯科口腔外科紹介ページにおいても、より専門的な内容が掲載されております。