血管のなかにカテーテルという細い管をいれて血管を撮影する検査です。血管撮影の場合、血管を撮影する検査のみで終了する場合と、撮影後血管内治療を行う場合があります。当院にはAIが搭載された血管撮影装置が導入されており、画像の精度はあがり、被ばく量も少なくなり、より精度の高い血管内治療が可能となりました。
血管内治療とは、多発外傷の患者様で出血している血管にカテーテルをいれて血管を塞栓したり、破裂した動脈瘤の出血をとめたり、破裂するリスクのある動脈瘤を破裂予防の目的で塞栓したりします。また、肝臓にできた腫瘍に対して腫瘍を栄養している血管に抗がん剤をいれたあとに血管をふさぐ治療も行われています。
図に示してある画像では、腫瘍は青紫色で、腫瘍を栄養している動脈は緑の線で示されています。これは、AIが腫瘍を栄養している動脈を探して同定したものです。AIがみつけてくれた栄養動脈にカテーテルをいれて、そこから抗がん剤と塞栓物質をいれて治療します。当院放射線部が行っている血管内治療は、肝腫瘍がメインですが、ほかに腹部分枝動脈瘤、肺動静脈瘻、喀血の止血、肝損傷や肝腫瘍の出血の止血、小腸出血の止血等多岐にわたります。肝腫瘍の治療についてご紹介しますと、おもに手術不能な肝細胞癌の治療、全身化学療法で効果がない肝腫瘍を中心に行っています。とくに肝細胞癌の場合は、肝硬変に生じる場合がほとんどであり、肝機能がわるく手術できないことがしばしばあります。血管内治療は治療しても肝臓の負担は軽く、繰り返し治療が可能なので、良い適応となります。なお、放射線部が行っている血管内治療は頭部、頭頚部、心臓、大動脈以外の領域なら対応可能です。