病院長ご挨拶
地域医療が迎えている転換期
新潟県のほぼ中央に位置する県央地域は、三条市、燕市、加茂市、田上町、弥彦村の5市町村からなる地域です。燕三条に代表されるものづくりの文化を背景に、多くの方々がこの地で暮らし、働き、地域社会を築いてきました。八木ヶ鼻の新緑、分水の桜、粟ヶ岳のブナ林、護摩堂山のあじさい、弥彦公園の紅葉など、四季折々の豊かな自然にも恵まれています。しかし一方で、人口減少や高齢化の進行、医療人材の不足など、地域医療を取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。こうした時代の中で、地域の医療体制をどのように守り、次の世代へとつないでいくのか。それが今、私たちに課せられた大きな課題です。
県央モデル ー地域で支える新しい医療ー
2024年3月、県立燕労災病院とJA新潟厚生連三条総合病院の統合と合わせ、済生会三条病院、県立吉田病院、県立加茂病院の急性期機能を集約し、済生会新潟県央基幹病院は誕生しました。これは単なる病院統合ではありません。県央地域の医療を将来にわたり持続可能な形で守るための、地域医療の構造改革です。地域の医療機関がそれぞれの役割を担いながら連携し、地域全体で患者さんを支える「地域でひとつの病院」という新しい医療の形を実現すること。それが私たちの目指す「県央モデル」です。
当院は31診療科、400床を有する県央医療圏唯一の急性期基幹病院として、救急医療、高度専門医療、災害医療を柱に地域医療を支えています。年間6,500台を超える救急搬送を受け入れ、ウォークインを含めると年間約1万人の救急患者に対応しています。私たちが掲げる基本姿勢は「断らない救急」です。それは無制限にすべてを受け入れるという意味ではありません。命に関わる可能性のある患者さん、緊急性の高い患者さんを最優先に受け入れるという覚悟を示す言葉です。地域の皆様が安心して暮らせる医療体制を維持すること。それこそが、基幹病院としての大きな使命であると考えています。
同時に、すべての医療を当院だけで完結させるのではなく、地域の医療機関や介護・福祉施設と密接に連携しながら、地域全体で患者さんを支える医療ネットワークを構築していくことも重要です。急性期医療を担う基幹病院としての役割を果たしながら、それぞれの医療機関の専門性や機能を活かした連携体制を整えることで、「県央地域の患者は県央で診る」という医療の形を実現していきたいと考えています。
県央から、日本の地域医療の未来へ
これからの地域医療を支えていくためには、人材の育成が欠かせません。当院では、急性期医療の最前線で専門性を磨くだけでなく、地域医療全体を俯瞰できる視野と、多職種と協働できる力を備えた医療人の育成を重視しています。医師、看護師、コメディカル、事務職員を含め、すべての職員が専門職として互いを尊重しながら協働する組織づくりを進めています。さらに当院では、医療の質の向上と組織の継続的な改善を実現するため、国際規格ISO9001に基づく品質マネジメントにも取り組んでいます。医療安全や業務改善の取り組みを組織全体で共有し、より質の高い医療を提供できる体制を整えることは、地域医療を守るための重要な基盤であると考えています。
当院は、 「県央を日本の地域医療のモデルに ― 常に変化と成長を ―」 を理念としています。
地域医療を取り巻く環境は、今後も大きく変化していきます。しかし、変化の時代だからこそ挑戦が必要です。私たちは、この地域に必要とされる医療を追求し続けながら、新しい地域医療の形を創り続けていきたいと考えています。
県央地域の医療を守ることは、地域の未来を守ることでもあります。地域の皆様、関係する医療機関の皆様と力を合わせながら、県央地域の医療をより良い形で次の世代へとつないでいく。その責任と誇りを胸に、職員一同、挑戦を続けてまいります。
今後ともご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。